庭の手入れをしていると、気づけばあちこちに生えている雑草。
「せっかくきれいに整えたのに、また生えてきた」「抜いても抜いてもキリがない」……そんな風に感じたことはありませんか?
雑草には、多年草や一年草といった生育サイクルの違いがあり、また植物の科によって繁殖方法や駆除のしやすさも異なります。
それらの違いを理解せずに対応してしまうと、逆に繁殖を助けてしまうことも。
この記事では、家庭の庭でよく見かける、繁殖力の強い雑草20種類を「多年草/一年草」「植物の科」ごとに整理し、それぞれの特徴や効果的な除草・予防方法を詳しく解説します。
あなたの庭に生えている雑草の正体を知ることで、無駄のない効率的な対策がとれるようになります。
雑草に振り回されない快適な庭づくりの第一歩として、ぜひ参考にしてください。
- まず知っておきたい!雑草の基本分類
- 庭でよく見かける雑草:繁殖力ランキング20
- 1:ドクダミ【多年草|ドクダミ科
- 2:スギナ【多年草|トクサ科】
- 3:ハマスゲ【多年草|カヤツリグサ科】
- 4:チガヤ【多年草|イネ科】
- 5:ムラサキカタバミ【多年草|カタバミ科】
- 6:カタバミ【多年草|カタバミ科】
- 7:ヒメシバ【多年草|イネ科】
- 8:ナズナ【一年草|アブラナ科】
- 9:エノコログサ【一年草|イネ科】
- 10:コニシキソウ【一年草|トウダイグサ科】
- 11:ゼニゴケ【多年草|ゼニゴケ科(コケ植物)】
- 12:ヨモギ【多年草|キク科】
- 13:ヤブカラシ【多年草|ブドウ科】
- 14:ナガミヒナゲシ【一年草|ケシ科】
- 15:オオアレチノギク【一年草|キク科】
- 16:カラスノエンドウ【一年草|マメ科】
- 17:ツユクサ【一年草|ツユクサ科】
- 18:セイタカアワダチソウ【多年草|キク科】
- 19:タンポポ【多年草|キク科】
- 20:ノゲシ【一年草|キク科】
- 21:アザミ【多年草|キク科】
- 効果的な雑草対策まとめ
- 雑草に悩まない庭づくりのポイント
まず知っておきたい!雑草の基本分類
多年草と一年草の生育サイクルの違い
【多年草】
地上部は冬になると枯れてしまいますが、根や地下茎が生き残っており、翌年の春になると再び芽を出します。
そのため一度発生すると継続的に生え続ける傾向があり、何度抜いても再生する厄介な存在です。
代表的な多年草にはスギナやヨモギなどがあり、どれも強い繁殖力を持っています。
駆除には根や地下茎を完全に除去するか、根まで浸透するタイプの除草剤を使用する必要があります。
地表だけの刈り取りでは不十分なため注意が必要です。
【一年草】
発芽から開花、結実、枯死までを1年以内に終える雑草で、春から秋にかけて一気に繁殖します。
繁殖の中心は種子によるもので、1株から何千もの種をまき散らすものもあり、放置すると翌年に大量発生する恐れがあります。
ただし根が浅いため、比較的簡単に引き抜くことができ、早期発見・早期対処が有効です。
代表例としてはナズナやエノコログサなどが挙げられます。
雑草の「科」ごとの特徴
植物の「科」は分類学上の基本単位のひとつで、同じ科に属する植物は見た目や性質に共通点が多い傾向があります。
たとえば、キク科の雑草は綿毛で風に種を乗せて飛ばすものが多く、繁殖域が広がりやすいのが特徴です。
タンポポやセイタカアワダチソウがその例です。
一方、イネ科の雑草は細長く線状の葉を持ち、根が浅く密集して生えやすい性質があります。
ヒメシバやチガヤなどは芝生や庭の縁でよく見かけられます。
科の特徴を知ることで、生えやすい場所や増え方のパターン、効果的な駆除法も見えてきます。
雑草の種類が判別できない場合でも、科に注目すれば対策の方向性が立てやすくなります。
庭でよく見かける雑草:繁殖力ランキング20
1:ドクダミ【多年草|ドクダミ科

独特なにおいと白い小花が特徴。
半日陰でも生育し、地下茎で強力に繁殖する多年草です。
薬草としての価値もありますが、一度庭に根づくと地下茎が複雑に絡まり、駆除は非常に困難です。
非選択性除草剤を使用して地上部と地下茎を一体的に処理するのが効果的。
日当たりを改善するだけでも発生を減らせる場合があります。
2:スギナ【多年草|トクサ科】

「つくし」の親として知られ、春先に出るつくしの後に地上部として繁茂するのがスギナです。
地下茎が非常に深くまで張り巡らされており、土を掘り返すとどこまでも根が出てくる厄介な雑草。
根の一部でも残すと再生するため、耕すだけでは逆効果になることもあります。
除草剤を使う場合は、グリホサート系の浸透移行型のものを選び、根まで枯らす必要があります。
再発を防ぐには、長期的に見て複数年対策を行う覚悟が必要です。
3:ハマスゲ【多年草|カヤツリグサ科】

芝生や砂利の隙間からでも顔を出す生命力の強い雑草。
地下には塊茎を持ち、それが繁殖源になります。
塊茎を残すとすぐに再生するため、掘り起こして根こそぎ除去する必要があります。
除草剤の使用も効果的で、特に土壌処理型の製品を使用すると長期的な抑制が期待できます。
夏場に勢いが増すため、春先からの対策がカギです。
4:チガヤ【多年草|イネ科】

地下茎で広がり、群生しやすい雑草です。
初夏に白く穂を立てて目立つようになりますが、繁殖のスピードも早く、庭や畑の周囲で見かけられます。
根が残るとすぐに再発するため、掘り取りと除草剤を併用するのが有効です。
春先から初夏にかけての早期対応が効果的です。
5:ムラサキカタバミ【多年草|カタバミ科】

鮮やかな紫〜ピンク色の花とクローバーに似た三つ葉が特徴の多年草。
観賞用として植えられることもありますが、地下茎や塊茎で旺盛に繁殖し、一度広がると根絶が困難になります。
日当たりの良い場所を好みますが、半日陰でも生育可能で、庭や花壇、鉢植えの隙間などにも出現します。
地上部を刈っても再生するため、根や球根を丁寧に掘り起こすか、非選択性の除草剤で地下部まで枯らすことが効果的です。
放置すると他の植物を圧倒するほどの勢いで広がります。
6:カタバミ【多年草|カタバミ科】

クローバーに似た三つ葉と黄色の小花が特徴。
芝生の中や花壇にもよく現れます。
地下に球根状の塊茎を持ち、地上部を刈っても何度でも再生します。
種子も飛ばし、繁殖力は非常に高いです。
放置すると花壇や芝生の隙間を覆い尽くします。
駆除には球根ごと根絶するか、非選択性の除草剤で徹底的に処理することが必要です。
日当たりのよい土壌に多く、乾燥にも強いため、継続的な管理が重要です。
7:ヒメシバ【多年草|イネ科】

芝生の中にも混じって生える雑草で、芝生に似た姿をしているため、気づきにくいのが難点です。
地下茎で広がり、根も浅いため、乾燥地でも繁殖しやすい傾向があります。
芝刈りだけでは根絶できず、地下茎ごと掘り取ることが必要です。
継続的に刈り込みを行うことで弱らせることも可能ですが、密生すると他の植物の成長を阻害します。
8:ナズナ【一年草|アブラナ科】

「ぺんぺん草」として親しまれる雑草で、ハート形の種子がついた茎が特徴です。
早春から地面を覆うように生え始め、種をまいて枯れる一巡のライフサイクルを持ちます。
根は浅く、抜きやすい反面、種の数が非常に多く、すぐに再発します。
草丈が低いため見落としやすく、開花前に早めに取り除くことで繁殖を防げます。
種が成熟する前の抜き取りを意識しましょう。
9:エノコログサ【一年草|イネ科】

「ねこじゃらし」の愛称で親しまれる雑草。穂状の花が特徴で、道端や庭の縁に生えることが多いです。
柔らかい草で手でも抜きやすいですが、放置すると大量の種をつけて翌年に再発します。
繁殖期が短く、春から夏のうちに種をまいて枯れるため、種ができる前の早期除去が重要。
耕起や刈り取りと併用することで発生を抑えられます。
10:コニシキソウ【一年草|トウダイグサ科】

地面を這うように広がる雑草で、茎が赤みを帯びているのが特徴です。
乾燥に強く、アスファルトの隙間や砂利の間にも生えます。
種子が非常に小さく、繁殖力も高いため、広がると手がつけにくくなります。
こまめに観察して小さいうちに抜くのが最も効果的で、繁殖期前の対応が大切です。
発見次第、すぐに処理しましょう。
11:ゼニゴケ【多年草|ゼニゴケ科(コケ植物)】

湿気の多い場所に広がる地表性のコケ植物で、地面に貼りつくように生えます。
美観を損ねやすく、特に日陰や水はけの悪い庭ではよく見られます。
胞子と栄養繁殖で広がるため、一度広がると駆除が厄介です。
日当たりや通気性を改善することで環境自体を変え、除草剤や酢スプレーを併用して根気よく対応するのが有効です。
定期的な表土の乾燥維持も効果的です。
12:ヨモギ【多年草|キク科】

独特な香りと切れ込みのある葉が特徴。食用にもなりますが、地下茎で広がり、除去が困難な雑草です。
繁殖力が強く、放置すると庭全体に広がる恐れがあります。
駆除には根と地下茎をしっかり掘り起こす必要があり、非選択性除草剤を併用すると効果的。
土壌を改良し、空気や水の流れをよくすることも再発防止につながります。
13:ヤブカラシ【多年草|ブドウ科】

つる性の多年草で、周囲の植物に絡みついて伸び、日光を遮って枯らすほどの繁殖力を持ちます。
根は深く、少しでも残ると再生します。
つるをこまめに刈り取り、光合成を阻害して弱らせることが効果的です。
長期的に管理する必要があります。
14:ナガミヒナゲシ【一年草|ケシ科】

春先にオレンジ色の花を咲かせる外来種で、見た目に反して非常に繁殖力が強い植物です。
1株で数万の種子をつくり、コンクリートの隙間にも発芽するほどの強さがあります。
種ができる前の早期除去が最も重要で、放置すると一気に増えます。
手で抜くときは手袋を使用し、周囲の土ごと根を取るのが効果的です。
15:オオアレチノギク【一年草|キク科】

北アメリカ原産の帰化植物で、夏から秋にかけて白っぽい花を咲かせます。
茎は直立し、柔らかいため抜きやすいものの、風で種子が遠くまで飛ぶため、繁殖範囲が広いのが特徴です。
駐車場や花壇の隙間などに多く発生します。
種が飛ぶ前に手で引き抜くか、刈り取り処理を行いましょう。
16:カラスノエンドウ【一年草|マメ科】

つる性で春先にピンク色の花を咲かせ、黒く熟した豆のような実をつけます。
柔らかい茎で他の植物に絡みついて覆い尽くすことがあり、庭の植物の成長を妨げます。
若いうちに抜くことで広がりを防げ、種が熟す前の対応が鍵です。
防草シートやマルチングで発芽自体を抑えることも有効です。
17:ツユクサ【一年草|ツユクサ科】

初夏から秋にかけて青紫色の花を咲かせる一年草。
葉は細長く、茎は地面を這うように伸びていくため、花壇や庭の隙間でいつの間にか広がります。
湿った場所を好み、雨上がりには特に成長が早まります。
根は浅く、比較的抜きやすいものの、節から根を出して増えるため、放置すると広範囲に繁殖します。
花が咲く前に根元から引き抜き、必要に応じてマルチングや除草剤を併用すると効果的です。
18:セイタカアワダチソウ【多年草|キク科】

秋に黄色い花を咲かせる大型の外来雑草。
背丈が高く目立ち、他の植物の生育を抑えるアレロパシーを持つことでも知られています。
荒地や放置地に多く、自宅の庭でも風で種が飛来し、突然繁殖することがあります。
根が深いため、地上部を刈るだけでは不十分。
スコップなどで地際から掘り取り、再発防止のため防草シートやマルチングを行うと効果的です。
19:タンポポ【多年草|キク科】

黄色い花と綿毛でおなじみの植物で、風で種が飛ぶため、思わぬ場所にも突然現れます。
深く真っ直ぐに伸びた直根が特徴で、地上部だけを取っても根が残っていると再生します。
掘り起こす場合はスコップで根元を深く掘り、丁寧に根を抜くことが重要です。
庭に生える西洋タンポポは特に繁殖力が強く、1株で数百の種を飛ばすことも。
見つけたら即対応が基本です。
20:ノゲシ【一年草|キク科】

タンポポに似た黄色い花をつける柔らかい茎の雑草で、比較的湿った場所に多く生育します。
1年のうちに何度も発芽と開花を繰り返すこともあります。
根は浅いため、手で簡単に引き抜けますが、放置すると種が風で飛んで広範囲に拡散します。
こまめに除草し、花が咲く前に対応するのがポイントです。
21:アザミ【多年草|キク科】

紫の花と鋭いトゲが特徴で、触れると痛みを感じるほど頑丈です。
踏みつけにも強く、人やペットの安全面でも問題になります。
根が太く長いため、一部が残ると再生してしまいます。
手袋を着用し、根元から掘るように除去する必要があります。
トゲのある葉が光合成を活発に行うため、葉を切ることで徐々に弱らせる戦法も有効です。
効果的な雑草対策まとめ
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種をつける前に駆除が基本(特に一年草は短期間で繁殖し、数千個の種を残すものも)
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多年草は地下部(根・茎)を完全除去がカギ。刈り取りだけでは再生リスクが高い。
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除草剤は種類に応じて使い分ける:非選択性(すべて枯らす)と選択性(芝生用など)を目的に応じて選ぶ。
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防草シートやマルチングは再発防止に効果的。光を遮ることで発芽を防ぐ。
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定期的な草むしりが最大の予防策。見逃さず、週1回のチェックが理想。
雑草に悩まない庭づくりのポイント
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こまめなチェックで早期発見:雑草は小さいうちなら簡単に抜ける。
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植栽や芝を密にしてスペースを与えない:地面を覆う植物は雑草の発芽を抑える。
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土壌改善や排水対策も有効:雑草は痩せた土地や水はけの悪い土地を好むことが多い。
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環境に合った対策を組み合わせて行う:日陰に強い草、乾燥地に強い草などに応じて戦略的に対処する。